
妊活お役立ちコラム
2026/06/13
妊娠中/産後
妊婦の不眠の原因とは?夜眠れない理由と今日からできる対策

妊娠中は、ホルモン分泌の変化、つわり、頻尿、胎動、お腹の大きさによる寝苦しさ、胃酸逆流や胸やけ、不安や緊張などによって、寝つきが悪い・夜中目が覚める・眠りが浅いといった不眠の悩みが起こりやすくなります。
妊娠中の不眠は珍しいことではありません。
一時的に眠れない日があったり、夜中に何度か目が覚めたりするだけで、すぐに赤ちゃんへ悪影響があると考えすぎる必要はありません。
ただし、
- ・眠れない状態が長く続く
- ・日中の生活に支障がある
- ・不安感や気分の落ち込みが強い
- ・強い頭痛・めまい・動悸・息苦しさなどを伴う
などの場合は、早めに産婦人科へ相談することが大切です。
本記事では、妊娠中に眠りにくくなる主な原因、妊娠時期別の不眠の特徴、取り入れやすい生活上の工夫、医療機関へ相談した方がよい目安について解説します。
※睡眠薬、市販の睡眠改善薬、漢方薬、サプリメントなどを自己判断で使用することは避け、必要な場合はかかりつけの医師に相談しましょう。
もくじ
- 1妊婦さんに不眠が起こりやすい理由
- 2不眠は赤ちゃんに影響する?|妊娠中に眠れないときに知っておきたいこと
- 3妊娠時期別にみる不眠の特徴
- 4妊婦さんの不眠セルフチェック
- 5今夜からできる妊婦さんの不眠対策【生活習慣編】
- 6不眠に関するよくある質問
- 7東洋医学と妊娠中の不眠
- 8不眠と脈
- 9妊娠中の睡眠の悩みに対する当院の考え方
- 10睡眠の悩みと関係づけて用いられることがあるツボ
- 11妊娠初期の不眠・中途覚醒のケース
- 12まとめ
妊婦さんに不眠が起こりやすい理由
ホルモンの変化による睡眠の質の変化
妊娠すると、hCG・プロゲステロン・エストロゲンなどのホルモンの分泌が大きく変化していきます。
ホルモン分泌や基礎体温の変化により、日中の眠気を感じやすかったり、夜の寝付きにくさや途中で目が覚めることにつながったりすることがあります。
頻尿・胎動・お腹の張りなどの身体的な要因
妊娠初期〜後期にかけて多くの方を悩ませる頻尿。
夜間に何度もトイレに起きる原因となり、まとまった睡眠をとる妨げになり、睡眠不足になることも。
さらに、夜間や横になっている時は、日中より胎動を感じやすくなることがあります。
特に妊娠後期になってくると赤ちゃんの動いた感覚で目が覚めたり、お腹の張りなどで突発的に睡眠を妨げる要因として挙げられます。
なお、お腹の張りが規則的に続く、痛みが強い、出血を伴う、破水のような症状がある場合は、睡眠の問題として様子を見るのではなく、早めに産婦人科へ連絡しましょう。
消化器症状の影響
妊娠初期特有の、つわりによる吐き気や胃の不快感も寝つきを悪くしたり、夜中に気持ち悪さで目が覚めたりする原因の1つです。
また、赤ちゃんの成長に伴って大きくなる子宮が胃や腸を圧迫することで、便秘や胃もたれ・胸やけを起こしやすくなり、お腹の張りや就寝時に胃酸が逆流して不快感で眠れなくなることがあります。
不安やストレスによる覚醒
妊娠は身体的・精神的に様々な変化をもたらします。
体型・姿勢・肌や髪質の変化を始め、精神面では赤ちゃんが無事に育つかどうか、キャリアや金銭面、出産後の育児に対するプレッシャー。
今後の生活環境の変化に対する漠然とした不安感などがストレスとなり、交感神経を刺激して、本来休むはずの夜間でも脳を興奮状態にさせてしまうことがあります。
こむら返り・むくみ・寝汗・むずむず脚症候群など妊娠中特有の不快感
妊娠中特有の身体的な不快感も眠りにくさにつながることがあります。
- ・夜中や明け方に突然足がつるこむら返り
- ・むくみによる足の重だるさ
- ・ホルモンバランスの変化で体温が上昇し寝汗や暑さによる寝苦しさ
- ・足がむずむずしてじっとしていられなくなるむずむず脚症候群
など、入眠時・夜間・明け方に不快感が強い場合には、入眠しにくくなったり、夜間に目が覚めやすくなったりすることがあります。
妊娠中のこむら返りについては、こちらの記事もご参考にしてください。
足がつる妊婦さんへ。妊娠中のこむら返りの原因と対処法
こむら返りは、筋肉が急激に収縮して起こる強い痛みを伴う症状で、夜間や安静時に起こることも。
ミネラル不足・血行不良・水分不足・姿勢変化による筋疲労などが要因となり、また、妊娠中は赤ちゃんへ栄養や血液が優先されるため、母体の筋肉に必要な栄養が不足しやすくなります。
不眠は赤ちゃんに影響する?|妊娠中に眠れないときに知っておきたいこと
妊娠中に眠れないこと自体を過度に怖がりすぎなくてよい理由
思うように睡眠が取れない日が続くと、
「赤ちゃんの発育に影響する?」
「ちゃんと育っているかな?」
「私のせいで何かあったらどうしよう…」
と不安になってしまいますよね。
実際に、システマティックレビューおよびメタアナリシス(1)では、睡眠時間の短縮や睡眠の質の低下が早産リスク上昇に関連する可能性が示されています。
睡眠状態と早産リスクとの「関連」を調べたものであり、眠れない日が数日あっただけで、すぐに赤ちゃんへ悪影響が出るという意味ではありません。
一時的な寝不足や中途覚醒程度で、過度に心配しすぎる必要はありません。
睡眠不足が続くと体に起こる影響とは?
極端な睡眠不足が長く続くと、疲労感・頭痛・気分の落ち込み・集中力の低下など、自身の心身の負担が大きくなります。
無理に我慢せず、早めに家族やパートナー・医療機関に相談しましょう。
強い疲労や不調は放置しないことが大切
睡眠不足が続き、
「日中に起きていられないほど眠い」
「強い頭痛やめまいがある」
「動悸や息苦しさがつらい」
など、日常生活に支障が出る場合は注意が必要です。
「妊娠中だから仕方ない」と我慢しすぎず、早めに医療機関へ相談しましょう。
眠れない状態が続くときに相談したいケース
妊娠中に眠れなくなることは珍しいことではありません。
しかし、
- ・数週間ほとんど眠れていない
- ・不安感や気分の落ち込みが強い
- ・動悸・息苦しさが頻回に起こる
- ・日中の生活に支障が出ている
場合は、「頑張って我慢する」のではなく、周囲を頼りながら心と身体を休めることが大切です。
妊娠時期別にみる不眠の特徴
妊娠初期~ホルモン変化やつわりで寝つけない・眠りが浅い~
妊娠初期は、プロゲステロンなどのホルモン分泌の変化により、日中に強い眠気を感じやすくなります。また、つわりや頻尿、不安感などが重なることで、夜の眠りが浅く感じられることもあります。
妊娠中期~一時的に落ち着きやすいが生活リズムで乱れやすい~
妊娠中期に入ると、つわりも落ち着いてきて、いわゆる安定期と呼ばれる時期を迎えます。
この時期は赤ちゃんの成長によって少しずつ大きくなったお腹の影響で、今まで慣れ親しんだ寝る体勢が取れなくなり、寝返りや寝る姿勢に違和感を感じて目が覚めてしまうことも…。
また、初期はつわりで体調が悪くて出来なかったことをしようとして、夜更かしなどで生活リズムが乱れ、結果的に睡眠が疎かになってしまうケースがあります。
妊娠後期~寝返りしにくさ・胎動・頻尿で中途覚醒が増える~
妊娠後期は更に赤ちゃんが成長します。
お腹が大きくなり寝返りがしにくい状態に。
また、胎動も力強くなり、睡眠中に肋骨を蹴られたり、膀胱を圧迫されてトイレに目が覚めてしまうことでまとまった睡眠を取りにくくなることがあります。
臨月~出産への緊張や前駆陣痛で睡眠が分断されやすい~
予定日が近づくにつれて、お腹の張りや痛みを感じる前駆陣痛も目が覚めてしまう要因の1つです。
また、出産に対する不安や緊張などの感情の変化により、なかなか寝付けない・眠れないなど、精神面からの影響も大きく関連します。
妊婦さんの不眠セルフチェック
寝付くまでに時間がかかる
不眠のタイプは主に、
- ・入眠障害
- ・中途覚醒
- ・早朝覚醒
に分類されます。
どれか1つのタイプに当てはまることがあれば、複合的な場合もあります。
ベッドや布団に入ってもすぐ眠れずに、寝付くまでに時間がかかるのは、「入眠障害」に該当します。
夜中に何度も起きる
眠りが浅く途中で何度も目が覚めることを「中途覚醒」といいます。
目が覚めてもすぐにぐっすり眠れれば問題ありませんが、なかなか寝付けなかったり、トイレなどで目が覚め、浅めの睡眠が細切れになることで充分な睡眠時間を確保できず、日中の眠気や疲労感に繋がることがあります。
朝早く目が覚めてしまう
起きる予定の時間より早く目が覚めてから眠れなくなってしまう「早朝覚醒」タイプの方もいます。
寝つきが良くて夜中に目が覚めなくても、こうした早朝覚醒タイプの方も総合的な睡眠時間が短くなってしまう場合があります。
日中の眠気が強く集中力が低下しやすい
ぐっすり眠れない日々が続くことで、日中の強い眠気や集中力の低下・仕事や趣味が手につかないなど、生活に支障が出る場合は、早めに相談する目安になります。
睡眠日誌で自分の睡眠を知ろう
睡眠日誌とは、自分の眠りを正確に記録するための睡眠記録です。
寝つきが悪い・途中で目が覚めるなど、問題を見える化することで、自分の認識と実際の睡眠状態のズレを確認することができます。
おもな記入例
- ・ベッドに入った時間
- ・寝ついた時間・最終的に目覚めた時間
- ・夜中に目が覚めた回数や時間
- ・薬・アルコール・カフェインの摂取記録
- ・昼寝の時間
- ・気分や疲労感
引用元:田辺ファーマ株式会社「ヤマネ先生の睡眠日誌」https://www.suimin.net/data/nisshi.html
ノートやアプリなどを活用して記録をつけておけば、医療機関で相談する際に睡眠の傾向や生活リズムを伝えやすくなります。
今夜からできる妊婦さんの不眠対策【生活習慣編】
横向き寝と抱き枕の使い方
妊娠後期、とくに28週以降は、仰向けで寝るよりも横向きで寝る方が安心とされています!
左右どちらでも、楽に眠れる向きを選びましょう。
夜中に仰向けで目が覚めたからといって、すぐに赤ちゃんに影響が出るわけではありません。気づいたときに横向きに戻せば大丈夫です。
抱き枕やクッションを活用すると、お腹の重さを分散してお腹や腰への負担をやわらげるので、リラックスしやすい姿勢をとりやすくなります。
頻尿をやわらげる夜の工夫
夕方以降は、コーヒー・紅茶・緑茶などカフェインを含む飲み物を控えると、寝つきや夜間頻尿の対策になることがあります。
ただし、水分を極端に減らすと脱水につながるため、日中はこまめに水分をとり、夜だけ量やタイミングを調整しましょう。
胃酸逆流や胸やけがあるときの寝方と食事の工夫
胸やけや胃酸逆流がある場合は、食後すぐに横にならない、夕食を軽めにする、上半身を少し高くして休むなどの工夫が役立つことがあります。
胃は体の左側に膨らんでいるため、左側を下にすると楽に感じる方もいます。
こむら返り・むくみをやわらげるケア
就寝前の軽いストレッチや優しいマッサージで、足のこわばりや重だるさが和らぐ方もいます。
強く揉みすぎず、痛みがある場合や、むくみが急に強くなった場合、頭痛・目のチカチカ・血圧の上昇を伴う場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
寝室の環境を整える
寝室の温度・湿度も睡眠の快適さに関わります。
とくに妊娠中は基礎体温が高く暑がりになりやすいため、自分が快適だと感じる室温や寝具に調整することで、睡眠時の不快感を減らし、休みやすい環境を整えることも安眠に重要です。
不眠に関するよくある質問
妊娠中の不眠に関するよくある質問をわかりやすく解説します。
眠れない日は横になっているだけでも意味がありますか?
人間の体は、眠れない日でも目を閉じて横になり、静かに過ごすことで身体の負担を減らせることがあります。
妊娠中は特に心も体も敏感な時期です。
「眠らなきゃ!」と焦るほど交感神経が高まり、更に眠りづらくなることも。
眠れない日は“体を横にして休むことを優先する”意識で過ごしましょう。
夜眠れないと赤ちゃんに影響しますか?
一時的な寝不足が、すぐに赤ちゃんへ悪影響を与えるわけではないため、過度に心配しすぎなくて大丈夫です。
ただし、
- ・数週間ほとんど眠れない
- ・気分の落ち込みや不安感が強い
- ・頻繁な動悸や倦怠感などの不調が続く
などの場合は、無理せず医療機関へ相談しましょう。
胎動が多くて眠れないときはどうしたらいいですか?
夜になると赤ちゃんが元気に動いて、なかなか眠れないと感じる方も多くいます。
そんな時は、
- ・深呼吸をする
- ・横向きで楽な姿勢を探す
- ・お腹に優しく手を当てる
など、リラックスできる時間を意識してみましょう。
特に妊娠後期は、お腹の重さで寝姿勢がつらくなりやすいため、抱き枕やクッションを使うのもおすすめです。
夜間頻尿がつらいときの対策はありますか?
妊娠中は子宮が大きくなる影響で膀胱が圧迫され、夜間頻尿が起こりやすくなります。
対策としては、
- ・就寝前の水分摂取を調整する
- ・カフェインを控える
- ・足元やお腹を冷やしすぎないようにして、休みやすい状態を整える
- ・夕方以降に塩分を摂りすぎない
などが役立つことがあります。
ただし、水分を極端に減らすと脱水につながるため注意が必要です。
また、「排尿時に痛みがある」場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
妊娠中に睡眠薬や市販の睡眠改善薬を飲んでもいいですか?
妊娠中に、睡眠薬や市販の睡眠改善薬、以前処方された薬を自己判断で使用するのは避けましょう。
市販薬であっても、妊娠中に使用できないものがあります。
また、漢方薬やサプリメントも、自己判断で使用しないことが大切です。
眠れない状態が続く場合は、かかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談してください。
産後の睡眠に備えて今からできることはありますか?
妊娠中から「産後は細切れ睡眠になるもの」と知っておくだけでも、心の負担を軽くできることがあります。
特に産後は、授乳やおむつ替えによって数時間おきに起きる生活になりやすく、想像以上に睡眠不足を感じる方も少なくありません。
そのため妊娠中から、
- ・「完璧にやろう」と思いすぎない
- ・パートナーや家族、専門の施設を頼る準備をしておく
- ・宅配や家事代行などを調べておく
- ・休むことへの罪悪感を減らしておく
など、“いつでも休める環境づくり”を意識しておくことが大切です。
また、妊娠中のうちから、生活リズムを整える習慣をつくっておくと、産後の睡眠不足や疲労への備えにもつながります。
東洋医学と妊娠中の不眠
東洋医学では、人の身体には陽気(活動するためのエネルギー)があり、陽気は食べ物を脾胃(消化吸収を担う臓腑)で消化・吸収することで製造されます。
作られた陽気は肺(気を全身に巡らせ循環させる臓)の働きによって全身に配られ、昼間は頭や眼などの各器官を働かせているおかげで活動しやすくなります。
夜になると、頭や眼などの外側を巡っていた陽気は体の内側や深部(血や臓)に戻ることで、身体が休息に向かい眠れますが、夜になっても頭や目の緊張が抜けにくい状態を、「陽気が内側に戻りにくい」状態と捉えることがあります。
その結果、身体は疲れているのに頭が休まらず、眠りに入りにくい状態と考えます。
また、肝も睡眠と深く関わる臓です。
肝は「血を蔵す」と言い、血の貯蔵庫&コントロールをします。
- ・必要なときに頭や眼などの各器官に血を送り出す=筋肉を動かす、眼や脳を使う
- ・夜になり休む時に血が肝に戻る=睡眠モードになる
しかし、ここでも何らかの原因が発生し、肝に血が帰れないと眠れなくなってしまうのです。
不眠と脈
東洋医学では、不眠を「眠れない」という症状だけで判断するのではなく、脈やお腹の状態、冷え・のぼせ、胃腸の働き、精神的面などを合わせて見立てます。
たとえば、脈が浮いている場合は、身体の表面や頭の方に熱があり、休息モードへ切り替わりにくい状態と考えます。
また脈が細い・弱い・沈んでいる場合は、疲労や体力の消耗などを考えることもあります。
○脈イコール○○という症状限定できるわけではありません。
脈だけで不眠の原因を決めるわけではなく、妊娠週数、体調、冷えやのぼせ、胃腸の状態、精神的な緊張などを合わせて確認します。
妊娠中の睡眠の悩みに対する当院の考え方
当院では、妊娠中の睡眠の悩みに対して、まず脈やお腹の状態・生活リズム・冷えや緊張・胃腸の状態などを確認していきます。
不眠単体で悩まれている場合もあれば、他の症状と複合的に発生していることも多いため、睡眠の悩みに関わる背景を東洋医学的に確認し、その方の状態に合わせて本治(東洋医学的に全身の状態をみながら、体調を整えることを目的とした考え方)をおこないます。
また、東洋医学では、眠りにくさを「頭や目の緊張が抜けにくい状態」「気血の巡りが滞りやすい状態」「休息モードへ切り替わりにくい状態」などとして捉えることがあります。
鍼灸では、こうした東洋医学的な見立てをもとに、その方の体調や妊娠週数に配慮しながら、心身が休みやすい状態づくりをサポートします。
睡眠の悩みと関係づけて用いられることがあるツボ
失眠(しつみん)
足の裏のかかとの中央の少しくぼんだ所に位置します。

神門(しんもん)
手首の小指側の腱の内側に位置します。
隠白(いんぱく)
足の親指にあり、爪の生え際の内側の角に位置します。

百会(ひゃくえ)
百会は頭頂部にあるツボで、耳と鼻の延長線が交わる頭の頂点に位置します。

妊娠中は、体調や妊娠週数によって刺激を避けた方がよい場合もあります。
セルフケアで強く押したり、お灸を長時間行ったりせず、気になる場合は専門家に相談してください。
妊娠初期の不眠・中途覚醒のケース
Aさんは妊娠前から当院に通われており、妊娠後も体調管理のために来院されていました。
妊娠6週頃までは強い眠気があり、
「寝ても寝ても眠い。いくらでも寝られる感じがする!」
とお話されていましたが、7週を過ぎたあたりから、夜中に何度も目が覚める“中途覚醒”が増えるようになりました。
最初は、起きてもすぐ眠れると話されていましたが、徐々に眠りの浅さや日中のぼーっとする感覚を自覚するように。
この時は、
- ・頻回な目の疲れ
- ・便秘
- ・食欲の増加
などの症状もみられていました。
東洋医学では、妊娠中は赤ちゃんの成長によって身体の熱のバランスが変化しやすいと考えます。
本来、夜になると活動のエネルギーである「陽気」は身体の内側へ戻り、休息モードへ切り替わります。
しかし、この切り替えがうまくいかないと、身体は疲れていても頭が休まらず、眠りが浅くなることがあります。
また、東洋医学では「肝」は睡眠と深く関係する臓とされ、血を蓄え、休息へ切り替える役割を担います。
Aさんには、脈の緊張が強い弦脈や浮脈もみられ、気血の巡りや休息への切り替えがうまくいっていない状態が考えられました。
そのため、上に偏った緊張を落ち着かせ、休みやすい状態へ向かうようアプローチを行いました。
鍼灸後の感じ方には個人差がありますが、この方は、
「目の疲れがスッキリした」
「途中で起きても、また休みやすく感じた」
「日中のぼーっとする感覚が減ったように感じた」
とお話しされていました。
※これは一例であり、すべての方に同じ変化が起こるわけではありません。
まとめ
妊娠中の不眠は、ホルモン分泌の変化・つわり・頻尿・胎動・お腹の大きさによる寝苦しさ・不安や緊張など、さまざまな要因によって起こります。
一時的な寝不足だけで、すぐに赤ちゃんへ悪影響があると心配しすぎる必要はありません。
ただし、眠れない状態が長く続く場合や、生活に支障がある場合は、早めに産婦人科へ相談しましょう。
寝る姿勢や睡眠環境を整える・カフェインを控える・抱き枕を使うなど、できる範囲の工夫で休みやすくなることがあります。
また、睡眠薬・市販薬・漢方薬・サプリメントは自己判断で使用せず、必ず医師や薬剤師に確認することが大切です。
妊娠中の眠りにくさは、身体が大きく変化している時期に起こりやすい悩みのひとつです。
無理に我慢せず、身体を休めることを優先しながら、必要に応じて専門家に相談していきましょう。
参考文献
(1)Chortatos A, Haugen M, Iversen PO, et al. Nausea and vomiting in pregnancy: associations with maternal gestational diet and lifestyle factors in the Norwegian Mother and Child Cohort Study. BJOG. 2013;120(13):1642-1653.PubMed: PMID:21673002
(2)巣元方.『校釈 諸病源候論』.緑書房.1989年.</div>
(3)髙山宏世.『漢方常用処方解説(新訂39版)』.日本漢方振興会漢方三考塾.2006年.
(4)経絡治療学会.『日本鍼灸医学(経絡治療・臨床編)』.経絡治療学会.2008年.
(5)池田政一.『臨床家のための病症別 伝統鍼灸治療法』.医道の日本社.1996年.
初筆:2026年6月12日
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